機材&プラグイン › 制作環境インタビュー

今使っている機材|ヘッドホン・モニター・マイク・オーディオIF【制作環境インタビュー】

2026年7月17日連載②:機材(ハード)編
本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。
制作環境のイメージ画像

※ヘッダーはイメージ画像で、実際の制作環境の写真ではありません。

連載①(DAW+主力プラグイン編)では、Pro Toolsとプラグインの話をしました。今回はハード編です。ヘッドホン、スピーカー、マイク、そしてトークボックス。トップページの「筆者が使っている機材」に並べているものを、何を基準に選んで、実際にどう使い分けているのかを掘っていきます。

並んでいるのは、どれも自分が良いと思って選んだ機材です。高いものを揃えたわけでも、有名だから買ったわけでもありません。それぞれに選んだ理由があります。

まず、どこで作ってるんですか?

今は実家の一室をスタジオにしていますミックスダウンもここでやっています

それとは別にアパートがあって、そっちにはMaschine 3 Mikroを置いています。連載①で「持ち運びが面倒だからアパート用にMikroを買った」と話しましたが、実際には役割が分かれていて、アパートはイメージを作る場所、実家のスタジオは仕上げる場所という感じです。アパートではヘッドホンで制作しています。

ヘッドホンは何を使ってきましたか?

順番でいうと HDJ-1000 → CD900ST → ATH-M50x です。

HDJ-1000はDJと兼用でした。ただDJ用に設計されているぶん側圧が強くて、長時間の作業には向いていませんでした。DJから離れていた時期はCD900STへ。使っている人が多かったので試してみたんですが、低音がいまいち聞こえなくて、やめました。その後またDJをやるようになり、今のM50xに落ち着いています。

こうして並べてみると、DJをやっているかどうかで選び方が変わっているのが分かります。DJをやる時期は兼用できるものを、やらない時期のCD900STはモニター用途として選びました。

前提として、ミックスダウンはスピーカーでやるので、ヘッドホンの出番はアパートでイメージを作るときくらいです。役割がはっきりしているぶん、選ぶ基準もそこに合わせています。

audio-technica ATH-M50x(モニターヘッドホン)
audio-technica ATH-M50x(モニターヘッドホン)
DJとビートメイクを1台で。アパートでイメージを作るときの相棒。
Amazonで見る →楽天で探す →

M50x単体の話はATH-M50xのレビュー記事で詳しく書いています。

スピーカーは? ミックスダウンの主役ですよね。

最初は父からもらったスピーカーでした。機種は……正直、忘れました(笑)。そこから今のYAMAHA HS7です。

選んだ理由はテンモニ(YAMAHA NS-10M)への憧れです。あの白いコーン、スタジオの写真でよく見かけるやつですね。ずっと憧れていました。ただ、HS7はその流れを汲んでいて、さらに低域も聞きやすくなったと聞いたので、こっちを買ってみました。

あとで調べて納得したのが、NS-10Mが密閉型なのに対して、HS7は2ウェイのバスレフ型だということ。公称の再生周波数帯域は43Hz〜30kHz(-10dB)です。ヤマハ自身も「1970年代以降の象徴的な白いウーファー」の系譜として、そのフィロソフィーを継承したシリーズだと説明しています。憧れていた設計思想は引き継ぎつつ、低域は現代的に伸ばした——そんな位置づけでした。

結果的に、これは良かったと思っています。ミックスダウンの判断は、今もここでしています

YAMAHA HS7(モニタースピーカー・ペア)
YAMAHA HS7(モニタースピーカー・ペア)
テンモニの流れを汲みつつ低域が聞きやすい。ミックスダウンの判断はここでしている。
Amazonで見る →楽天で探す →
オーディオインターフェースは、なぜMOTU 828に?

連載①で遍歴は話しました(Mbox 2 mini → US-2000 → 003 Rack → SSL2+ → 828)。ざっくり言うと、「入力が足りない。でも箱の数は増やしたくない」というせめぎ合いです。

Mbox 2 miniの入力が少なくて、拡張しようと思ってミキサーを買ったんですが、MTRと卓が横に並んでいる状態が圧迫感があってダメでした。それで「最初からインプットが多いやつを1台にしよう」と方針を変えました。今の828は、その答えです。

ついでに言うと、機材はラックマウントに収まる範囲で全部整えたいんです。003 Rackも828も、後で話すdbxもラックです。ミキサーもMTRも机の上ではなく机の横に置いていましたが、それでも横に台数が並ぶと圧迫感がある。ラックなら縦に積めます。

MOTU 828(オーディオインターフェース)
MOTU 828(オーディオインターフェース)
入力の数と、ラックに収まること。この2つで選んだ現在のメイン。
Amazonで見る →楽天で探す →
でもトップページにはSSL2+も載っていますよね。

もともとSSLのミキシングコンソールにずっと憧れがあったんです。スタジオの写真に写っている、あの卓ですね。当然、自分が手を出せるようなものではありませんでした。そこにSSLがオーディオインターフェースを出したと知って、「自分でもSSLの一部を持てる」と思って、かなりワクワクしました。

ただ、メインで使うには入力が足りなかった。それで828に移りました。捨てたわけではなくて、今はアパート用に使おうと思っているし、友達の家に行くときに持っていったりもしています

卓上サイズなので、そのまま持ち出せるメインから外れたことで、逆に居場所ができたという感じです。

SSL2+(オーディオインターフェース)
SSL2+(オーディオインターフェース)
SSLのコンソールへの憧れから。入力数の都合でメインは828に譲ったが、持ち運べるので今も現役。※筆者のは前世代のSSL2+、リンクは現行のSSL2+ MkII。
Amazonで見る →楽天で探す →
マイクは何本か持ってますよね。

もともとはRODE M3でした。今のメインはRODE NT2-Aです。

NT2-Aを買ったのは、たまにボーカルの友達が来るからです。すごく本格的なものじゃなくてもいいけれど、ある程度いい音で録れるものにしたかった。決め手は、業界でよく使われるNeumann U87-Aiのインスパイアだと聞いたことでした。それなら間違いないだろうと思って決めました。

今は用途で分けています。サックスは基本SHURE PGA98H-XLRトークボックスのときはSM58NT2-Aは基本的にボーカル用で、サックスをNT2-Aで録ることもたまにあります。

RODE NT2-A(コンデンサーマイク)
RODE NT2-A(コンデンサーマイク)
U87-Aiのインスパイアと聞いて購入。友達のボーカルを「ある程度いい音」で録るための一本。
Amazonで見る →楽天で探す →
dbx 286S ——プラグインで済むのに、なぜハード?

きっかけは、友達がdbxのチャンネルストリップを通して録っている音が、明らかに太くて前に出ていると感じたことでした。

もちろん、もっと高価なチャンネルストリップがあることは分かっています。ただ、身近で実際に良さを確認できたこと価格が現実的だったこと、そしてラックに収まって場所を取らないこと。この最後の部分が、自分にとっては大きな決め手でした。機材はラックに収まる範囲で整えたいので。

使うのはサックスもですが、メインはボーカルです。

dbx 286S(チャンネルストリップ)
dbx 286S(チャンネルストリップ)
友達の録り音を聴いて決めた一台。安価・ラックマウント・効果が分かる。
Amazonで見る →楽天で探す →
サックスを吹くんですよね。これはかなり珍しいと思うんですが。

途中ブランクはありますが、合計だと10年くらいになります。

きっかけは、Uyama Hirotoさんの音楽に憧れたことでした。あのフィルタのかかったような惹き込まれる感じと、そこに乗るサックスの音にすごく憧れたんです。その憧れから自分もサックスを買ったんですが、なによりサックスってシンセだとどうしても偽物っぽさが出やすい。「だったらもう買ってやるしかないな」となりました(笑)。

もうひとつ大きかったのが、その頃ハマっていた元町の「491HOUSE」というジャズバーです。ジャズへの憧れがすごくありました。(※491HOUSEは2021年2月に閉店しました)

結果として、今も続けています。自分の曲に生のサックスを入れられるようになったのは、かなり大きかったです。

誤解のないように書いておくと、プラグインを使うのも全然アリだと思っています。リアルな音のものもあります。ただ、それをリアルに聴かせるには設定も表現力も必要で、それはそれで難しい。生のサックスには、生ならではの質感や息遣い、表現力があります。そこは素直にすごいと思います。

AI音源もここ数年でかなり変わりました。ACE STUDIO 2.0は、MIDIをベタ打ちしただけでも人間味のある表現になるところまで来ています。サックスやトランペットも鳴らせます。別記事で詳しく書いたので、そちらもどうぞ。

ACE STUDIO 2.0レビュー
ACE STUDIO 2.0 レビュー — MIDIだけでリアルなAI管楽器・ストリングス
サックス・トランペットのAI Instruments、DAW連携、価格まで。生で吹く前に試す選択肢として。
記事を読む →
トークボックス。なぜ持ってるんですか?

RogerもZappも好きなんですが、直接のきっかけはStrange Fruit Projectの「A Place」を聴いたことでした。自分がやりたい方向性のJazz Hip HopやBoom Bapとの相性がすごく良くて、「これはかっこいいな」と思った。それで買いました。2〜3年前です。

ただ、登場回数はまだ多くありません。今も練習中です。曲の中で「ここぞ」という場面に使う機材、という位置づけになっています。

MXR M222 Talk Box(トークボックス)
MXR M222 Talk Box(トークボックス)
Jazz Hip Hopとの相性の良さに惹かれて購入。ここぞという場面で使う一台。
Amazonで見る →楽天で探す →
今、欲しい機材はありますか?

ゼンハイザーのHD 650です。理由のひとつは、普段ミックスをやっている人たちからの評価が高いこと。

もうひとつは環境の問題です。モニタースピーカーを置けない場所や、外出先でもミックスダウンできるようにしたい。今はスピーカーのある実家のスタジオに戻らないと仕上げられないので、そこを持ち出せるようにしたい、という狙いです。

HD 650は開放型で、ゼンハイザー公式も「部屋の音響やスピーカーの設置に左右されずにマスタリンググレードのサウンドを再現する」と説明しています。まさに自分がやりたいことです。ただ、ひとつ注意点があって、インピーダンスが300Ωあるので、鳴らす側にもある程度の出力が必要です。

ゼンハイザー HD 650(開放型ヘッドホン)
ゼンハイザー HD 650(開放型ヘッドホン)
開放型のリファレンス系ヘッドホン。インピーダンスは300Ωで、鳴らす側にある程度の出力が要ります。
Amazonで見る →楽天で探す →

もうひとつ欲しいのが、マイク用のNeve系マイクプリです。候補はWarm Audio WA73Golden Age Project PRE-73 Jr MkII。狙いは、Neve系ならではの中低域の密度です。今のdbxだとスッキリしすぎるボーカルのローミッド——声の芯や胸の響き——が、もっとどっしりした肉厚な存在感に変わるんじゃないか。そこを体感してみたいです。ついでに、NT2-Aの少し強めな高域も、まろやかになってくれそうな期待があります。

Warm Audio WA73(Neve系マイクプリ)
Warm Audio WA73(Neve系マイクプリ)
1073系のクラシックな英国コンソール・サウンドを狙った1chマイクプリ。Carnhillトランスを採用。
Amazonで見る →楽天で探す →
Golden Age Project PRE-73 Jr MkII(Neve系マイクプリ)
Golden Age Project PRE-73 Jr MkII
1073系の回路構成をコンパクトなハーフラック・手頃な価格でまとめた1chマイクプリ。
Amazonで見る →楽天で探す →

まとめ

並べてみると、機材を選ぶときに見ているポイントはだいたい決まっています。ラックに収まること、入力が足りること、その機材の役割がはっきりしていること。HS7もNT2-Aも828も、結局はこの3つのどれかで決めました。

実際に良かったと思うのは、身近で音を確認できたものです。dbx 286Sは友達の録り音を聴いて決めたもので、今でも迷いはありません。SSL2+はメインからは外れましたが、持ち運べるおかげで別の居場所ができました。

サックスは機材というより、自分自身の話です。ビートに生の音を入れたくて始めて、途中ブランクを挟みながら合計10年くらい。プラグインでもリアルな音は出せると思います。ただ、生の息遣いや表現は、自分で吹いてみて初めて分かることが多かったです。

20年かけて、機材それぞれの居場所が決まってきました

次はHD 650です。アパートを「イメージを作る場所」から「仕上げられる場所」に変える——それが当面の目標です。

本記事はアフィリエイト広告を含みます。価格・仕様・在庫は変動するため、最新の情報は各リンク先の公式・販売ページでご確認ください。掲載は筆者の個人的な使用感に基づく感想です。Amazonのアソシエイトとして、Beat Lab は適格販売により収入を得ています。