Output Arcadeレビュー|ループを「楽器として弾ける」サブスク音源・Spliceとの違い【2026年】
サンプルサブスクといえばSpliceやLoopcloudのような「素材をダウンロードするサービス」が定番ですが、OutputのArcadeはまったく別のアプローチを取ります。ループ素材をDAW上のプラグイン内に読み込み、鍵盤を押すだけでループを切り替え・変形しながら「楽器として演奏」できるのです。「ループをそのまま貼ると他人と被る」「素材を探すだけで1日が終わる」という悩みを持つビートメイカーの間で、独自の地位を築いてきました。
本記事では、Beat Lab編集部が2026年9月17日時点でOutput公式サイト・公式ヘルプセンターを確認し、Arcadeの仕組み、料金と無料トライアル、Spliceとの違い(素材DL型 vs 演奏加工型)、そして加入前に知っておくべき解約時の注意点を整理します。サブスク型の音源・プラグイン全般の考え方はプラグインのサブスク&Rent-to-Own解説もあわせてどうぞ。
Output Arcadeとは|「素材をDLする」のではなく「ループを演奏する」
Arcadeは、米Output社が提供するサブスクリプション型のソフトウェア音源(サンプラープラグイン)です。公式サイトでは「Perform, shape, and tweak thousands of mix-ready samples(数千のミックス済みサンプルを演奏・加工・調整する)」と紹介されており、その名の通り大量のループ・フレーズ素材がプラグイン内にストリーミング配信され、鍵盤上で演奏しながら使うのが基本スタイルです。
SpliceやLoopcloudが「WAVファイルを探してダウンロードし、DAWに貼る」サービスであるのに対し、Arcadeでは素材は「キット」としてプラグインに読み込まれ、キーを押すたびに別のループバリエーションが再生され、モディファイアキーでリアルタイムに変形できます。つまり、同じ素材から人によって全く違うフレーズが生まれる設計で、「ループ貼り付け感」を避けたい人に刺さる仕組みです。
主な特徴
- ループを鍵盤で演奏:キットに割り当てられたループ群をキーで切り替え、テンポ・キーはプロジェクトに自動追従
- リアルタイム変形:モディファイア操作でフィルター・リピート・逆再生などの加工を演奏しながら適用
- 自分のサンプルも読み込める:手持ちのサンプルを取り込んで同じように演奏・加工できる(公式ヘルプに手順あり)
- 新規コンテンツが継続追加:ジャンル別の新キットが日々追加されるサブスクならではの拡張性
- 制作した曲はロイヤリティフリー:加入中に作った音楽は解約後も永久に自分のものとして使える(公式ヘルプ明記・詳細は後述)
公式のデモ演奏は以下の動画が分かりやすいです(Output公式チャンネル)。
料金と無料トライアル(2026年9月17日時点)
2026年に入り、OutputはArcade単体サブスクに加えて、Arcade・AIアシスタント「Co-Producer」・エフェクト3種(Thermal/Portal/Movement)をまとめた統合プラン「Output One」への移行を進めています。既存Arcadeユーザー向けには60日無料でOutput Oneを試せるロイヤリティオファーも実施されました(公式ヘルプ・2026年4月更新)。
| プラン | 月額 | 年額 | 内容 |
|---|---|---|---|
| Arcade(単体) | $12.99 | $99 | Arcade本体+全コンテンツ |
| Output One | $14.99 | $119.99 | Arcade+Co-Producer+Thermal/Portal/Movement(全拡張込み) |
| 無料トライアル | 7日間 | Output Oneで提供(トライアル中の解約で課金なし) | |
※2026年9月17日にOutput公式ヘルプセンター(Output One解説・2026年3月更新/ロイヤリティオファー解説・2026年4月更新)で編集部確認。新規向けの案内はOutput One中心に切り替わりつつあり、プラン構成・価格は変更される可能性があります。最新は公式サイトでご確認ください。
月額$12.99〜という価格は、SpliceのSounds+($12.99/月・100クレジット)とちょうど同じ水準です。ただし後述の通り「月額で得られるもの」の性質が大きく異なるため、単純な価格比較では選べません。
Spliceとの違い|素材DL型 vs 演奏加工型
ArcadeとSpliceは「サンプルのサブスク」という括りでは同じですが、設計思想が正反対です。
- Splice=素材購入型:クレジットでWAV等をダウンロードし、素材は買い切り資産として解約後も使える(ライセンス永続を公式明言)。加工は自分のDAW・サンプラーで行う
- Arcade=演奏加工型:素材はプラグイン内でストリーミングされ、演奏・変形して「自分のフレーズ」に変えてから録る。素材ファイル自体を資産として貯める仕組みではなく、解約するとブラウズ・ダウンロードは不可になる(作った曲は残る)
言い換えると、Spliceは「食材の宅配」、Arcadeは「調理器具ごと借りるキッチン」です。素材のストックを積み上げたい人はSplice、ループを触りながらその場でフレーズを生み出したい人はArcadeが向いています。メロディーループの権利まわりの基礎はメロディーループの使い方と著作権で詳しく解説しています。
【比較表】Splice vs Arcade vs Loopcloud
主要サンプルサブスク3サービスの設計の違いを、編集部が公式情報(2026年9月確認)をもとに1枚にまとめました。引用・シェア歓迎です(出典リンクをお願いします)。
| Splice | Output Arcade | Loopcloud | |
|---|---|---|---|
| タイプ | 素材DL型(クレジット制) | 演奏加工型(プラグイン音源) | 素材DL型(ポイント制) |
| 最安の月額 | $12.99(100クレジット) | $12.99(Arcade単体)〜$14.99(Output One) | ¥795/$7.99(100ポイント) |
| 素材の使い方 | WAV等をDLしてDAWに貼る | プラグイン内でループを演奏・変形して録音 | 専用アプリで試聴・編集してDL |
| 解約後 | DL済み素材は永久に使用可 | 音源は使用不可(制作済みの曲はロイヤリティフリーで使用可) | DL済み素材は永久に使用可 |
| 無料トライアル | 無料アカウントあり(時期によりプロモーション) | 7日間(Output One) | 14日間(100ポイント付き) |
| 向いている人 | 素材資産を貯めつつ厳選DLしたい人 | ループから即興でオリジナルフレーズを作りたい人 | 固定費を抑えたい人・DAW同期試聴で時短したい人 |
※価格・条件は2026年9月に各公式サイト・公式ヘルプで編集部確認。詳細な料金プラン比較はLoopcloud vs Splice徹底比較を参照してください。
月額の元が取れる人・向かない人
Arcadeが向いている人
- ループを「素材」でなく「出発点」として使いたい人:鍵盤で切り替え・変形しながら弾くうちに、元ループとは別物のフレーズができあがります。Type Beat制作の上ネタ量産と相性抜群です
- 毎月コンスタントに曲を作る人:新キットが継続追加されるため、月に数曲以上作るペースなら$12.99〜の固定費は回収しやすい部類です
- 素材探しの時間を減らしたい人:ジャンル・ムードで選んで即演奏できるため、「DLしてBPM合わせて刻んで…」という工程を大幅に短縮できます
向かない人
- 素材を資産として貯めたい人:解約すると音源にはアクセスできなくなります。手元にWAVを残したいならSpliceやLoopcloudの方が合理的です
- たまにしか作らない人:使わない月も課金は続きます。制作ペースにムラがあるなら、ポイントが失効しないLoopcloudや単発のサンプルパック購入が向きます
- 生演奏系の細かい打ち込みが中心の人:Arcadeはあくまでループベース。1音ずつ作り込むスタイルなら通常の音源・シンセ(まずは無料プラグインでも)が主役です
解約時の注意点(公式ヘルプの確認情報)
サブスクで最も重要なのが「やめたらどうなるか」。Output公式ヘルプ「What happens when you cancel your subscription」には次のように明記されています。
- 解約後も現在の請求期間の終了までは利用可能(正確な期限はアカウントページに表示)
- 期間終了後はキットのブラウズ・検索・ダウンロード・DL済みコンテンツへのアクセスが不可になる。プロジェクト内の録音済みMIDIは、Arcadeがインストールされている間は最後に保存した音色で再生される
- このため解約前にMIDIトラックをオーディオにバウンスしておくことを公式が推奨
- 加入中に制作した音楽はロイヤリティフリーで、解約後も永久に自分のものとして利用できる
- 解約は請求期間末で効力が生じるが、再開(Reactivate/Renew)はいつでも可能。一時停止(Pause)の仕組みも用意されている
要するに「曲は残る・音源は返す」というレンタル型の設計です。Arcadeを使ったプロジェクトは完成の都度オーディオ化しておくのが安全運用の基本になります。書き出した2MIXのラウドネス確認には、当サイトのダイナミクス診断(無料)が使えます。
よくある質問
Q1. 解約すると、Arcadeで作った曲はどうなりますか?
A. 加入中に制作した音楽はロイヤリティフリーで永久に使えます。ただし音源自体は使えなくなるため、解約前にMIDIをオーディオに書き出しておくことが公式に推奨されています。
Q2. 無料トライアルはありますか?
A. あります。2026年9月時点では、Arcadeを含むOutput Oneの7日間無料トライアルが公式に案内されています。トライアル中に解約すれば課金されません。
Q3. Spliceとどちらを選ぶべきですか?
A. 素材をDL資産として残したいならSplice、ループを演奏・変形してその場でオリジナルフレーズを作りたいならArcadeです。両者は競合というより役割が異なるため、併用しているプロデューサーも多くいます。
Q4. 商用利用はできますか?
A. できます。加入中に制作したものはロイヤリティフリーで、解約後も含め永久に利用可能とOutput公式ヘルプに明記されています。細かい許諾範囲は公式の著作権解説ページで確認してください。
まとめ
Output Arcadeは、サンプルサブスクの中で唯一に近い「ループを楽器として弾く」体験を提供するサービスです。素材が資産として残らない点は明確な割り切りですが、その代わりに「ループ被り」から自由になれる創作ツールとしての価値があります。SpliceやLoopcloudとは役割が異なるので、まずは7日間の無料トライアルで「演奏するサンプル」が自分の制作スタイルに合うかを確かめるのが確実です。サブスク費用全体の設計はサブスク&Rent-to-Own解説も参考にしてください。