Arturia Pigments 7レビュー|Serum 2との違い・価格・こんな人向け【2026年】
「シンセの音作りを学ぶなら、まずこれ」と名前が挙がることが増えたのが、フランスArturiaのフラッグシップソフトシンセPigments(ピグメンツ)です。色分けされたモジュレーションが画面上でリアルタイムに動く設計は、「音がどう変化しているのかを視覚的に理解できる」という点で、ほかのシンセにはない大きな特徴です。2025年12月には最新版のPigments 7が既存ユーザー向けの無料アップデートとしてリリースされ、大きな話題となりました。
本記事では、Beat Lab編集部が2026年7月21日時点でArturia公式サイトなどの情報を確認し、Pigments 7の機能や価格、定番シンセであるSerum 2との違い、さらにAnalog Labからステップアップする価値があるのかを整理して解説します。
・トラップ/EDMの定番音とプリセット市場を重視 → Serum 2($249)が本命
・音色は選ぶだけでいい → まず無料のAnalog Lab Playから(レビュー)
Pigmentsとは|6つの合成エンジンを「見て」学べるシンセ
Pigmentsは、Arturiaがゼロから開発したソフトシンセです。V Collectionのようにビンテージシンセを再現した製品ではなく、現代の音楽制作を前提に設計されている点が最大の特徴です。Arturia公式ページ(2026年7月21日確認)によると、現行のPigments 7には以下の機能が搭載されています。
- 6種類の合成エンジン:Virtual Analog/Wavetable/Sample/Granular/Harmonic(加算)/Modal(物理モデリング)。3つのエンジンスロットに自由に組み合わせられ、補助のUtilityエンジン(オシレーター+ノイズ)や外部オーディオ入力の加工にも対応
- 19タイプ・68モードのフィルター:V Collection由来のアナログ系から、フォルマントやローファイ系まで
- ドラッグ&ドロップのモジュレーション:色分けされたソースを目的のツマミへドラッグするだけ。何がどこを動かしているかが常に画面で見える
- 20種のエフェクト(Shimmer Reverb・マルチバンドコンプ・ボコーダー等)と生成系シーケンサー/アルペジエイター
- プリセット1,700以上、MPE・NKS・MTS-ESP対応
ビートメイカーの視点で見ると、プラックやベル、パッド、揺らぎのあるテクスチャなど、上ネタに使える音色を自分の手で作り込めるシンセです。グラニュラーエンジンへワンショットサンプルを読み込んで質感を作るなど、サンプル加工に近い感覚で使うこともできます。メロディループに頼らない上ネタ作りへステップアップしたい人にぴったりの一本です。
Pigments 7の新機能|2025年12月・既存ユーザーは無料
Pigments 7は2025年12月16日にリリースされ、既存のPigmentsユーザー全員に無料アップデートとして提供されました(Arturia Software Center経由)。バージョンアップを重ねても既存ユーザーから追加料金を取らない方針は、Serum 2と並んで良心的といえます。主な変更点は次のとおりです。
- Play Viewの刷新:音に反応して動くオーディオリアクティブな演奏画面になり、プリセットを選んで演奏・微調整するだけの使い方がより快適に
- 新フィルター(Rage・Rippleなど)とCorroderエフェクト:歪み・質感系の音作りが強化され、ベースミュージック系の攻めた音に対応
- 各エンジンの改良とワークフロー改善:4K対応のリサイズ可能UI、ダーク/ライトテーマなど
- Explorations Volume 5:クラウドラップ、ダブステップ、IDMをテーマにした拡張音色(各150プリセット)が公式サウンドストアに追加
価格と入手方法(2026年7月21日時点)
| 入手方法 | 価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 既存Pigmentsユーザー | 無料 | Pigments 7へはArturia Software Centerから無料アップデート |
| 新規購入 | $199 | 買い切りの永久ライセンス。Arturia公式・Plugin Boutiqueで購入可 |
| 無料デモ版 | 無料 | Arturia公式サイトからダウンロード可(恒久無料版はなし) |
※2026年7月21日にArturia公式サイト(USD表示)で編集部確認。セール・為替により変動します。
Arturiaは、季節ごとに大型セールを実施するメーカーとして知られています。Pigments 7も発売時には通常価格$199に対し、$99のイントロ価格(2026年1月上旬まで)が設定されていました。編集部確認時点では通常価格に戻っているため、急いで導入する必要がなければ、セール時期を待って半額前後で購入するのも現実的な選択肢でしょう。
Serum 2 vs Pigments 7|どっち向き?比較表
上ネタ向けの本格的なシンセを1本選ぶ際、最後まで比較対象になるのがXfer RecordsのSerum 2です。Beat Lab編集部では、両製品の公式情報(Serum 2は2026年7月7日、Pigments 7は2026年7月21日確認)をもとに、それぞれの特徴を比較しやすいよう整理しました。
| 項目 | Serum 2 | Pigments 7 |
|---|---|---|
| 通常価格 | $249 | $199 |
| 合成方式 | ウェーブテーブル中心+サンプル/グラニュラー/スペクトラル(3オシレーター) | 6エンジン(VA/ウェーブテーブル/サンプル/グラニュラル/加算/物理モデリング)×3スロット |
| プリセット | 本体同梱+市販プリセット市場が業界最大級(Type Beat系の定番) | 1,700以上同梱+公式ストアの拡張(Explorationsシリーズ等) |
| 学びやすさ | 定番ゆえチュートリアル動画が豊富 | 色分けUI+動くモジュレーション表示で構造が目で分かる。シンセ学習の教材として評価 |
| 得意な音 | EDM・トラップ系の攻めたリード/ベース、定番の「あの音」 | パッド・テクスチャ・ベル・物理モデリング系など音の幅広さ。歪み系もv7で強化 |
| 分割購入 | SpliceのRent-to-Own($9.99×25回・総額$249)あり | なし(その分セール頻度が高い) |
| 無料で試す | Splice経由で3日間トライアル | 公式サイトの無料デモ版 |
| どっち向き | プリセット互換・共同制作の「共通言語」が欲しい人 | 音作りを学び、独自の音を武器にしたい人 |
※Beat Lab編集部作成。価格は各公式サイトの通常価格(Serum 2は2026年7月7日、Pigments 7は2026年7月21日確認)。引用時は当ページへのリンクをお願いします。
結論を一言でまとめると、「みんなが使う定番サウンド」を素早く手に入れたいならSerum 2、「自分だけの音」を作る力を身につけたいならPigments 7がおすすめです。実際には両方を使い分けている制作者も多く、その場合でもPigmentsは$50安く、セール時にはさらに価格が下がりやすいため、2本目としても導入しやすい位置付けです。
Analog LabからのステップアップとしてのPigments
すでにAnalog Labを使っている人にとって、Pigmentsは自然なステップアップ先といえます。Analog Labが「名機の音色を集めたカタログ」だとすれば、Pigmentsは自分で音色を作り出すためのシンセです。
- 操作の連続性:同じArturia製のため、ブラウザやマクロの操作感が共通。Analog Labに慣れていれば移行の学習コストは小さめ
- 「プリセットの微調整」から「ゼロからの音作り」へ:Pigmentsもまず1,700以上のプリセットから始めて、動いているモジュレーションを画面で見ながら中身を理解していく、という学び方ができます
- 物足りなさの解消:Analog Labでは音色の深い編集ができません。「この音のアタックだけ変えたい」が増えてきたら、それがステップアップのサインです
打ち込みの際は、参照曲のキーを当サイトのBPM・キー検出ツール(無料)で調べてから音作りを始めると迷いが減ります。書き出し後はダイナミクス診断(無料)でラウドネスの確認も忘れずに。
こんな人におすすめ / 向かない人
- おすすめ:シンセの仕組みを学びたい初中級者。動くUIが「見える教科書」として機能し、プリセットの解析だけでも学びになります
- おすすめ:上ネタのテクスチャで差を付けたい人。グラニュラー+物理モデリングは、サンプルパック由来の音と被りにくい領域です
- 向かない:Serum系プリセットの資産・共同制作の互換性が最優先の人。Type Beatシーンの「共通言語」は依然Serum 2です
- 向かない:まだ無料で十分な人。無料シンセや無料プラグイン8選で土台を作ってからでも遅くありません
よくある質問
Q1. 旧バージョンのPigmentsを持っている場合、Pigments 7は有料ですか?
A. 無料です。Pigments 7は既存のPigmentsユーザー全員を対象とした無料アップデートとして提供されており、Arturia Software Centerからアップデートできます。
Q2. Serum 2とどちらを買うべきですか?
A. プリセット市場や定番サウンドを重視するならSerum 2、音作りを学びながらオリジナルの音を作りたいならPigments 7がおすすめです。詳しくは本文の比較表をご覧ください。
Q3. 無料版はありますか?
A. 恒久的な無料版はありませんが、Arturia公式サイトから無料デモ版を試すことができます。また、同じArturia製品では無料のAnalog Lab Play(100音色)も提供されています。
Q4. セールを待つべきですか?
A. Arturiaは季節ごとの大型セールを実施することが多く、Pigments 7も発売時には$99のイントロ価格が設定されていました。編集部確認時点(2026年7月21日)は通常価格$199のため、急ぎでなければセールを待つ価値は十分あります。
まとめ
Pigments 7は、6つの合成エンジンと視覚的に分かりやすいUIによって、「音作りを学ぶこと」そのものを製品の価値としているシンセです。既存ユーザーへの無料アップデートを継続しながら$199という価格を維持しており、セール時にはさらに導入しやすい価格になります。プリセット市場で定番のSerum 2、名機の音色を手軽に使えるAnalog Labとは役割が明確に異なるため、比較表を参考に、自分の制作スタイルに合った1本を選ぶとよいでしょう。迷っているなら、まずは無料デモ版を試し、Pigmentsならではの「動くモジュレーション」を実際に体験してみることをおすすめします。