国内外のクリエイターから長く支持されてきたMOTUの「828」シリーズ。2024年1月に発売された第5世代モデルは、前モデルから完全新設計となって登場しました。28入力/32出力という大規模なルーティング性能、低レイテンシー、そしてESS製DACによるフラットで解像度の高いサウンドが大きな特徴です。
本記事では、Beat Lab編集部が2026年7月4日時点でMOTU公式サイト(motu.com)の情報を確認し、第5世代828の特徴や、ビートメイク環境での使いどころ、そして約18万円という投資に見合うユーザー像を整理します。他機種と比較しながら選びたい人は、まずオーディオインターフェースの選び方とおすすめ4機種もあわせてどうぞ。
👉 新型「MOTU 828」の最新価格をAmazonで確認する / 楽天で探す
新型MOTU 828は、Mac、Windows、iOS環境に対応し、強力な内蔵DSPミキサーを搭載した28入力/32出力のUSB3オーディオインターフェイスだと公式は説明しています(USB-C端子、USB 3.2 Gen 1・5Gbps接続、USB2互換)。名機「828es」のDNAを受け継ぎながら、現在のビートメイクや宅録環境で求められるスペックを、省スペースな1Uラックに凝縮したモデルです。
▶ 公式デモ動画(MOTU 公式チャンネル)
ハードウェアシンセやMPCを複数台使っていると、機材をまとめるために別途ミキサーが必要になるケースも多くあります。新型828は背面の入力端子が豊富なので、外部機材を直接828へ接続しておくことができ、追加のミキサーを置くスペースを減らせます。デスク周りの機材構成をできるだけシンプルにしたい人に向いた設計です。
これだけ多くの入出力を備えながら、本体はわずか1Uのラックサイズに収まります。フロントパネルには3.9インチのフルカラー液晶ディスプレイ(480×128ピクセル)を搭載し、全入出力のメーターをリアルタイムで表示できると公式は説明しています。据え置き型の制作環境では、単なるオーディオインターフェイスではなく、状態確認用の表示装置としても役立ちます。
コントロールアプリの「CueMix 5」は、PC上での操作だけでなく、828を接続したPCと同じWi-Fiネットワークを利用することで、iPadやスマートフォンからもミキサーを起動できると公式は説明しています。手元のタブレットから各チャンネルのボリュームやルーティングを調整できるため、デジタルミキサーに近い感覚で運用できます。
アウトプット数が多いため、DAWを中心にした複雑なルーティングにも対応しやすい構成です。例えば、以下のような流れもパッチケーブルを差し替えることなく同時に処理できます。
アウトボードを活用したセットアップを頻繁に変更する制作スタイルほど、この自由度の高さが大きなメリットになります。
録音時のレイテンシーは、公式スペックでRTL約2ms(96kHz・32サンプル時)とされています。さらに、PC側のCPUに負荷をかけることなく、828内蔵DSPでリバーブやEQ、コンプレッサーをかけた状態でモニターしながら録音できます。録音される音自体は色付けの少ないフラットな傾向とされており、後からプラグインで処理する前提の制作スタイルにも向いています。
| 項目 | MOTU 828(第5世代・2024年発売) |
|---|---|
| 入出力合計 | 28イン/32アウト・計60ch(44.1/48kHz時) |
| アナログ入力 | XLR/TRSコンボ(マイク/ライン/Hi-Z)×2(+48V、-20dBパッド、最大+74dBゲイン、センド/リターン・インサート付き)、TRSライン入力×8 |
| アナログ出力 | TRSライン出力×8(DCカップリング対応)、XLRメイン出力×2、ヘッドホン出力×2 |
| デジタルI/O | ADATオプティカル2バンク(16ch、S/MUX対応)、S/PDIF(RCA) |
| PC接続 | USB-C(USB 3.2 Gen 1・5Gbps、USB2互換)、クラスコンプライアント対応(Mac/Windows/iOS) |
| レイテンシー | RTL約2ms(96kHz・32サンプルバッファ時、公式値) |
| DAC / サンプルレート | ESS Sabre32™ DAC(ダイナミックレンジ125dB) / 最大192kHz |
| DSPミキサー | 24入力/8ステレオバス、リバーブ・4バンドEQ・ゲート・コンプ搭載。CueMix 5でWi-Fi遠隔操作可 |
| その他 | 3.9インチRGB液晶、MIDI IN/OUT、ワードクロックIN/OUT、フットスイッチ入力、トークバック、A/Bスピーカー切替、ラッチ式電源ボタン |
| 付属ソフト | CueMix 5、MOTU Performer Lite、Ableton Live Lite、6GBのループ素材 |
| サイズ / 重量 | 1Uラック(48.26 × 31.1 × 4.44cm) / 約5kg |
| 実勢価格 | 約18万円前後(サウンドハウス税込179,300円・2026年7月4日時点) |
※スペックはMOTU公式サイト(motu.com)掲載情報を2026年7月4日に編集部が確認したものです。価格はサウンドハウス等の同日調査に基づく税込目安で、為替・在庫により変動します。
市場価格は約18万円前後です。外部機材を所有しておらず、今後も追加する予定がなく、ヘッドホンだけで完結する完全インザボックススタイルの場合、この豊富な入出力は持て余す可能性があります。一方で、1台でスタジオ品質の基準を引き上げたい人や、将来的な機材追加を見据えて拡張性を確保したい人にとっては、有力な候補になります。
1Uラックサイズで重量も約5kgあるため、ノートPCと一緒に持ち運び、外出先で気軽に制作する用途には向いていません。自宅やスタジオに設置して、固定環境で使うことを前提とした機材です。
公開時点で編集部が確認した範囲では、ユーザーレビューには以下のような意見が見られます(表現は要約・意訳)。実際の評価については、購入前に各販売店のレビューなども確認してください。
44.1/48kHz時に28イン/32アウト(合計60チャンネル)です。内訳はコンボ型マイク/ライン/Hi-Z入力×2、TRSライン入力×8、TRSライン出力×8、XLRメイン出力×2、ADATオプティカル2バンク(16ch)、S/PDIF、ヘッドホン出力×2などです(2026年7月4日時点のMOTU公式情報)。
使えます。USBオーディオクラスコンプライアント対応のため、ドライバ不要でiOSデバイスに接続できると公式は説明しています。さらに、同一Wi-Fiネットワーク上であればCueMix 5アプリを使って、iPadやスマホから内蔵ミキサーを遠隔操作できます。
MOTU公式スペックでは、96kHz・32サンプルバッファ時のラウンドトリップレイテンシー(RTL)が約2msとされています。また、内蔵DSPミキサーを利用すれば、遅延をほとんど感じにくいダイレクトモニタリングにエフェクトを加えた状態で録音できます。
MOTU Performer LiteとAbleton Live Lite、コントロールアプリのCueMix 5、6GBのループ素材が付属すると公式は説明しています(2026年7月時点の公式情報)。Pro ToolsやLogic、Cubaseなど主要DAWでもそのまま使用できます。
新型MOTU 828は、プロクオリティのESSコンバーター、外部機材をまとめて接続できる拡張性、そしてデジタルミキサーのように扱える操作性を、1Uラックサイズに詰め込んだオーディオインターフェイスです。約18万円という価格は決して安価ではありませんが、手持ちのシンセやサンプラーを常時接続し、自分だけの制作環境を構築したいビートメイカーにとっては、長く使える「核」となる1台になり得ます。まずはオーディオインターフェースの選び方で、自分の制作スタイルに必要な入出力数を確認し、多入出力環境が必要だと分かった段階で候補に入れるのが現実的です。
なお、当サイト運営者がこの828にたどり着くまでの遍歴(Mbox 2 mini→US-2000→003 Rack→SSL2+→828)と、「入力は足りて、しかもラックに収めたい」という選んだ理由は、愛用機材インタビュー(機材ハード編)で詳しく話しています。