BeatStarsライセンス完全ガイド|MP3・WAV・Trackout・Exclusiveの違い【2026年版】
BeatStarsでビートを売るときも買うときも、必ず向き合うことになるのが「ライセンス」です。MP3 Lease、WAV Lease、Trackout(Stem)、Unlimited、Exclusive——名前は聞いたことがあっても、「何がどう違うのか」「契約書には何が書いてあるのか」を正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、BeatStarsのライセンスの仕組みを買い手と売り手の両方の視点から整理します。内容はBeatStars公式ヘルプセンター(help.beatstars.com)の情報と照合してファクトチェック済みです(2026年7月7日時点)。試聴用音源に入れるプロデューサータグについてはプロデューサータグ(Voice Tag)の作り方で解説しています。
1. 大前提:売っているのは「ビート」ではなく「使用権」
まず一番大事な前提から。BeatStarsで取引されているのは、ほとんどの場合ビートの所有権ではなくビートを使用する権利(ライセンス)です。
公式ヘルプでは、ライセンスは大きく2系統に整理されています。
- 非独占ライセンス(Non-Exclusive / Lease):使用条件に上限のある「リース契約」。プロデューサーは同じビートを何人にでも販売でき、公式ヘルプでも非独占ライセンスの販売数に制限はないと明言されています。
- 独占ライセンス(Exclusive):一般的には権利の譲渡にあたる契約で、買い手が新しい著作権者になるケースが多い形態です。販売後、そのビートを他の人へ新たに販売することはできません。
そしてもう1つ重要なのが、ライセンスの条件・価格・契約文面はすべて各プロデューサーが自分で管理しているという点です。BeatStars自体はライセンスや価格を管理しておらず、条件はプロデューサーごとに異なります。つまり「BeatStarsのMP3 Leaseはこういう条件」という絶対的なルールは存在せず、最終的には個別の契約書がすべてです。
2. 5つのライセンスの違いをまとめて理解する

とはいえ、多くのプロデューサーが採用している「定番の階層」があります。違いを生むポイントは主に、①納品されるファイル、②使用条件の上限、③独占かどうかの3つです。
| ライセンス | 納品ファイルの定番 | 特徴 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|
| MP3 Lease | MP3 | 最安の入門ライセンス。使用上限は低め | 25〜40ドル |
| WAV Lease | WAV+MP3 | 非圧縮の高音質。配信リリース向き | 40〜75ドル |
| Trackout(Stem)Lease | ZIP(パラデータ)+WAV+MP3 | トラック別データ付きで本格的なミックスが可能 | 75〜150ドル |
| Unlimited Lease | プロデューサーによる(WAVやStemまで含む例が多い) | 非独占のまま配信数などの上限を無制限に | 150〜300ドル |
| Exclusive | WAV+Stem一式が一般的 | 独占契約。以後の新規販売は停止 | 300ドル以上 |
※納品ファイル・価格はプロデューサーごとに設定されるため一律ではありません。価格は海外での一般的な相場観(編集部調べの目安)です。
Trackout(Stem)だけ少し補足
Trackoutは「ドラム」「ベース」「メロディ」などトラックごとに書き出したパラデータ(Stems)が付くライセンスです。買い手側はボーカルに合わせて2ミックスでは不可能な調整ができるため、本気のリリースを狙うアーティストに好まれます。なお売り手側の注意点として、StemsのアップロードはGrowthプラン以上限定です(公式ヘルプ・2026年7月時点)。
UnlimitedとExclusiveは何が違う?
どちらも「上限なしで使える」点は似ていますが、Unlimitedはあくまで非独占です。プロデューサーは同じビートを他の人にも売り続けられます。一方Exclusiveは独占契約で、以降そのビートの新規販売は行われません。「他の誰にも使われたくない」ならExclusive、「上限を気にせず使えれば十分」ならUnlimited、という住み分けです。
3. 契約書(Non-Exclusive License Agreement)には何が書いてある?
BeatStarsでビートを購入すると、ライセンスごとに契約書が発行されます。BeatStarsが用意する契約テンプレートをベースに、各プロデューサーが条件を設定する仕組みです。一般的なテンプレートに含まれる主要条項は次のとおりです。
- 配布数の上限:完成した楽曲を何部まで販売・配布できるか
- ストリーミング再生数の上限:SpotifyやApple Musicなどでの再生数の上限
- ミュージックビデオの本数:ビートを使ったMVを何本まで公開できるか
- ラジオ放送・ライブでの使用可否:放送局数や営利ライブでの使用条件
- クレジット表記:「Prod. by ○○」のようなプロデューサー名の表記義務
- 改変の可否:歌やラップを乗せて楽曲化するための編集(テンポ変更・アレンジ等)は認められる一方、ビート単体・素材としての再販売は不可とするのが一般的
- 契約期間:発効日から一定期間で終了する契約が多く、期間・更新条件はテンプレートの設定次第
- ロイヤリティ/パブリッシングの分配:楽曲がヒットした際の権利配分
繰り返しになりますが、具体的な数値(配布数・ストリーム数・期間など)はプロデューサーごとに異なります。公式ヘルプでも「契約条件は各プロデューサーの設定により異なる」「各ライセンスの条件は購入前にカートページで読める」と案内されているので、買い手は必ずカートページで契約全文を確認しましょう。
Exclusiveが売れた後、既存の非独占購入者はどうなる?
よくある疑問ですが、公式ヘルプに明確な回答があります。デフォルトの契約テンプレートを使っている場合、独占権の販売より前に非独占ライセンスを購入した人は、元の契約条件のもとで引き続き使用できるとされています。ただしプロデューサーが独自に契約を変更している場合はこの限りではないため、最終的には個別の契約書の確認が必要です。
4. 買い手の視点:ライセンス選びで失敗しない3つのチェック
① 契約書はカートページで必ず読む
デザインが同じ「MP3 Lease」でも、中身の条件はショップごとに別物です。配布数・ストリーム数の上限、クレジット表記、契約期間は最低限チェックしましょう。不明点があればプロデューサーにメッセージで直接確認できます(公式もこの方法を案内しています)。
② リリース計画から逆算して選ぶ
「デモやSNS投稿だけならMP3 Lease」「配信リリースするならWAV以上」「ミックスまで作り込むならTrackout」「ヒットの可能性に賭けるならUnlimitedやExclusive」というのが基本の考え方です。上限を超えそうになったら、上位ライセンスを買い直す(アップグレードする)のが一般的な運用です。
③ 手数料も頭に入れておく
Marketplace(beatstars.com上のマーケット)経由の購入では、購入者側に小計の12%のサービス手数料が上乗せされます(プロデューサーのPro Page・埋め込みプレイヤー経由は対象外。2026年7月時点の公式情報)。同じビートでも購入経路で支払額が変わることがあります。
5. 売り手の視点:ライセンス設定の手順とコツ
売り手は、BeatStars StudioのContractsセクションからライセンス(契約)を作成・編集します。公式ヘルプの手順は次のとおりです。
- Studioの「Contracts」を開き、「Create Contract」からNon-exclusive/Free Download/Exclusiveのいずれかを選択
- ライセンス名と説明文を設定(例:MP3 Lease、WAV Lease…)
- デフォルト価格と、オファー機能を使う場合の最低オファー価格を設定
- Files to deliver(納品ファイル)でMP3・WAV・Stemsのどれを含めるか選択
- 新規アップロード時にこのライセンスを自動で有効にするか選択
- 「Contract」タブで契約条件を編集(簡易エディタまたはFull Customizationで全文カスタマイズ可能)
- 適用するトラックを選んでPublish
この流れは、BeatStars公式チャンネルのチュートリアル動画(英語)でも確認できます。
▶ How to Create Contracts on BeatStars(BeatStars 公式チャンネル)
売り手が押さえておきたいポイント
- 納品ファイルは必ず揃える:ライセンスに「WAVやStemsを含む」と設定した場合、該当ファイルをアップロードしないとそのライセンスは購入可能になりません。なお、タグなしWAVをアップロードすれば、試聴用のタグ付きプレビューとMP3は自動生成されます(詳しくはプロデューサータグの作り方へ)。
- 契約全文を自分でも保管する:公式ヘルプでは、シークレットウィンドウで自分のビートをカートに入れて買い手視点で契約を確認する方法や、Full Customization画面から全文をコピーして保存する方法が案内されています。
- 迷ったらテンプレートに戻せる:カスタマイズし過ぎた場合は、デフォルトのBeatStarsテンプレートへリセットする機能もあります。
- 法的な不安は専門家へ:テンプレートは自由に編集できますが、BeatStars公式も「法的助言はできない」と明言しています。Exclusiveなど金額の大きい契約では弁護士等への相談が推奨されています。
よくある質問
Q. 同じビートを何人にも販売していいのですか?
A. 非独占ライセンス(Non-Exclusive)であれば問題ありません。BeatStars公式ヘルプでも、非独占ライセンスの販売数に制限はないと案内されています。独占ライセンス(Exclusive)を販売した後は、そのビートの新規販売は行えなくなります。
Q. Exclusiveが売れたら、先に非独占で買った人はもう使えなくなりますか?
A. BeatStarsのデフォルト契約テンプレートを使っている場合、独占権の販売前に非独占ライセンスを購入した人は、元の契約条件の範囲で引き続き使用できると公式ヘルプに記載されています。ただしプロデューサーが契約内容を独自に変更している場合は扱いが変わる可能性があるため、個別の契約書を確認してください。
Q. 購入前にライセンスの契約内容を確認できますか?
A. 確認できます。BeatStars公式ヘルプによると、各ライセンスの契約条件は購入手続き前にカートページで読むことができます。配信数の上限やクレジット表記などの条件はプロデューサーごとに異なるため、購入前に必ず目を通しましょう。
Q. ライセンスの条件は自分で自由に決められますか?
A. 決められます。BeatStarsの契約テンプレートは完全にカスタマイズ可能で、価格・納品ファイル・契約条項を自由に編集できます。ただし公式も法的助言はできないとしており、大きな金額の取引では専門家への相談が推奨されています。
まとめ
BeatStarsのライセンスは、一見複雑に見えて、実は「納品ファイル」「使用上限」「独占かどうか」の3軸で整理すればシンプルです。
- 売られているのはビートの使用権。条件は各プロデューサーが管理している
- 買い手はカートページで契約全文を確認し、リリース計画から逆算して選ぶ
- 売り手はStudioのContractsでライセンスを設計し、契約書を自分でも保管しておく
ライセンス設計が固まったら、次は売るための準備です。試聴用音源にはBeat Lab:プロデューサータグ付与、タイトルやタグ付けにはBeat Lab:Type Beatタイトル&タグ生成が使えます。