
画像: Waves Audio Ltd.(Plugin Boutique 製品ページより)
自分の作ったビートをSoundCloudやSpotifyにアップしたとき、「なんか他の曲に比べて音圧が足りない」「ボリュームを上げても、スカスカで迫力に欠ける」と感じたことはありませんか?
音圧を上げようとしてマキシマイザーのスレッショルドを下げていくと、今度はキックがペチペチに潰れたり、音が割れてしまう。そんな無限ループに陥っているビートメイカーは非常に多いと思います。
正直に言うと、私はミックスダウンもマスタリングもかなり苦手です。専門的なエンジニアリングの知識があるわけでもありません。だからこそ、マスタリングの最終段はプラグインの優秀な機能に頼り切っています。
長年、Wavesのプラグインの中で音圧を稼ぐための定番といえば「L2 Ultramaximizer」でした。しかし、2025年9月にリリースされたLシリーズ最新版のWaves L4 Ultramaximizerを導入してから、マスタリングが苦手な私でも一瞬で理想の音圧が作れるようになったので、そのリアルな感想と使い方をシェアします。
なぜこれまでの通常のリミッターだと、音圧を上げたときに迫力がなくなってしまっていたのでしょうか。理由は簡単で、キックの頭やスネアのアタック(トランジェント)という「一番パンチを感じる部分」をリミッターが上から押し潰していたからです。
L4は、まさにその「知識がなくて調整が難しくても、ビートのノリや迫力を殺さずにしっかりとした音圧を稼ぎたい」というワガママを叶えてくれるプラグインでした。公式のキャッチコピーも「ラウドネスとダイナミクスの両立(Get loudness AND dynamics)」。特にお気に入りのポイントが2つあります。
単体アルゴリズムだったL1/L2と違い、L4には5種類のリミッティングモード(Modern / Smooth / Aggressive / Safe / L2 Legacy)が搭載されています。L2の挙動を再現する「L2 Legacy」まで入っているのが面白いところです。
とにかく限界まで音圧を稼ぎたい人に試してほしいのが「Aggressiveモード」です。公式では「ラウドで前に出るサウンド。グリッティでハードヒットなミックス向け」と説明されているモードで、私の耳には心地いい歪み感(適応型クリッピングによるサチュレーション的な質感)が加わって聴こえます。
従来のリミッターだと、音圧を上げるほどキックのアタックが潰れてペチペチになりがちでした。しかし、このモードはドリルやトラップ、EDMなどで、キックの鋭いパンチや808ベースの重低音の勢いを「維持したまま」、ビート全体をガッツリとラウドに仕上げることができます。モードを選ぶだけなので、難しい微調整がいりません。

L4の最大の武器であり、私が一番感動したのが「Upward Compression(アップワードコンプレッション)」フェーダーの追加です。公式いわく、Wavesのボーカル処理などで超有名なプラグイン「MV2」に着想を得た機能です(MV2のアルゴリズムそのものを移植したという意味ではありません)。
通常のリミッターは「大きい音を上から潰して」隙間をなくしますが、L4のアップワードコンプは「小さな音を自然に下から持ち上げる」ことができます。公式マニュアルでも「ミックス全体をリミッターに強く押し込むことなく、低レベル部分を"埋める"ことができる」と説明されています。
ウワモノの余韻、ハイハットの空気感、808ベースのサステインなど、ビートの隙間にある音をググッと前に押し出すため、全体の音量がパンパンに詰まった「音の壁」のような圧倒的な音圧が生まれます。上から無理に叩き潰さないのでダイナミクスが死なず、結果として破綻のない大きな音を作ることができます。
このほかにも、リリースやクリッピングを楽曲に合わせて自動調整する適応型エンジン、配信基準に対応するTrue Peakモード、EBU R128 / ITU-R BS.1770準拠のLUFSラウドネスメーター、ゲインマッチ、処理成分だけを聴けるDelta(Δ)モニターなど、「最終段に必要なもの」がひととおり入っています。
「いろいろ試したけれど、やっぱり納得のいく音圧が出ない」という人に、私が最近リアルにやっているおすすめのルーティングをご紹介します。
それは、「マキシマイザーを除く処理をiZotope Ozoneで行い、最後の最後の仕上げ(最終段)にL4を挿す」という方法です。
※もちろん曲によっては、最後にちょっとした「質感の味付け」が欲しいときもあります。Softubeの「Tape」のようなサチュレーターをはじめ、その時のビートのキャラクターやノリに合わせて、質感をコントロールするプラグインを薄く挿して微調整することもありますが、味付け系はL4の手前に置くのが原則です。L4でTrue Peak処理やディザリングを行う場合、その後段に音量や音質をいじる処理を足すとせっかくのピーク管理が崩れるからです。ベースとなる音圧作りの土台は完全にこの「Ozone+L4」です。
Ozoneのスマートな自動補正でトーンを綺麗にし、最後の仕上げにWaves L4の持つ「Aggressiveな押し」と「下からの持ち上げ」を加える。この組み合わせを試してから、マスタリングが苦手な私でも、配信環境で埋もれない説得力のある音圧を手に入れることができるようになりました。仕上がりの音圧チェックには、当サイトのラウドネス診断ツールも活用してみてください。
| 販売元 | 定価 | セール価格 |
|---|---|---|
| Plugin Boutique(日本・円建て) | ¥17,250 | ¥7,106(58%OFF) |
| Waves公式(waves.com) | $99 | $35〜$40前後(セールにより変動) |
※価格は2026年7月5日時点。Wavesはほぼ通年でセールを実施しているため、「セール中の実売価格」が実質的な相場です。定価はストアによって表記が異なります。
L4は2025年9月リリースのLシリーズ最新モデルで、Modern / Smooth / Aggressive / Safe / L2 Legacyの5つのリミッティングモード、MV2に着想を得たアップワードコンプレッション、True Peakモード、LUFS対応ラウドネスメーターなどを搭載しています。L1/L2/L3も引き続き販売されていますが、単体アルゴリズムのL1/L2に対してL4は適応型エンジンで動作します。なおL3の正式名称はL3 Multimaximizer(マルチバンド型)です。
できます。むしろ相性が良い組み合わせです。Ozoneで帯域バランスやトーンを整え、Ozone内のMaximizerはオフ(または薄め)にして、チェーンの最終段にL4を挿して音圧を稼ぐ構成が定番です。ディザリングやTrue Peak処理を行うL4の後段には、原則として他の処理を入れないようにしましょう。
2026年7月時点で、Mercuryなどの上位バンドルとサブスクリプションのWaves Creative Access(Ultimateティア)に含まれています。HorizonやPlatinumには含まれていないため、それらの所有者は単品購入(セール時7,000円前後)が現実的です。
あります。L4はTrue Peakモードでインターサンプルピークを抑えられるため、SpotifyやApple Musicなどが推奨する-1.0dBTP程度の天井設定に対応できます。EBU R128 / ITU-R BS.1770準拠のラウドネスメーター(Integrated / Short-Term LUFS、LRA、dBTP)も内蔵しているので、配信向けのラウドネス確認がプラグイン内で完結します。
Waves L4 Ultramaximizerは、単なるアップデート版ではなく、現代のビートメイカーが最も求めている「破綻のない圧倒的な音圧」を簡単に作れるプラグインだと感じています。
これらに一つでも当てはまるなら、L4を導入する価値は間違いなくあります。ビートのクオリティをもう一段階アップさせるために、ぜひチェックしてみてください。
購入はPlugin Boutiqueの製品ページから。日本からのアクセスなら円建て・セール価格で表示されます。