ラップの声を機械っぽく歪ませたり、上ネタのボーカルサンプルにロボ声のテクスチャを足したり——そういう「声を楽器として加工する」作業を1台でまかなえるのが、iZotopeのVocalSynth 2です。ボコーダーやトークボックスといった定番のエフェクトから、iZotope独自の声道モデルまでを詰め込んだ、いわば“声のシンセサイザー”。
この記事では、5つのモジュールが実際どう効くのか、ラップや上ネタでどう使うのか、そして価格(通常$199)とPlugin Boutiqueのセール事情まで、Beat Lab編集部が2026年7月28日時点のiZotope公式情報をもとに整理しました。ボーカル系のプラグインを一通り見比べたい人は、ボーカル加工プラグイン比較もあわせてどうぞ。
VocalSynth 2は、iZotopeのクリエイティブ系エフェクトに分類されるボーカル加工プラグインです。中心にあるのはブレンド可能な5つのモジュール。それぞれ味の違うボーカルエフェクトで、単体で使ってもいいし、混ぜて重ねてもいい。公式は「過去・現在・未来のボーカルサウンドをこれ1台で」とうたっています。
iZotopeらしいのは、Neutron・Ozone・Nectar・Tonal Balance Controlなど他のiZotopeプラグインと連携できること(インタープラグイン通信)。ミックスの中でボーカルの居場所を整えるところまで見据えた設計になっています。まずは動きを見るのが早いので、iZotope公式の紹介動画を置いておきます。
▲ iZotope公式チャンネルによる「Using VocalSynth 2 in a Hip Hop Song」。ラップのトラックにMIDIモードでCompuvoxを効かせる例が見られます。
信号の流れはシンプルです。入力したボーカル(またはお好みのオーディオ)を5モジュールに通して質感を作り、その後段にストンプボックス型のエフェクトチェーン(最大7スロット)で仕上げる、という二段構え。まずは全体像から。
この5つを混ぜられるのがVocalSynth 2の核。たとえばPolyvoxでハモリを厚くしつつ、Compuvoxを薄く混ぜてエッジを足す——といった重ね方で、既製のプリセットにはない自分の声色を作っていけます。
VocalSynth 2は動作モードが3つあり、これを理解すると一気に使いやすくなります。
入力ボーカルをリアルタイムでキーに合わせ、ハモリや追加ボイスも生成してくれるモード。難しい設定をせず、トラックに差してモジュールを混ぜるだけで質感が変わります。ラップのアドリブやフックにロボ声のニュアンスを足すのに手っ取り早い。
MIDIで音程をコントロールし、自分の声を“オシレーター”として鳴らすモード。コードを押さえればボーカルのハモリが作れて、往年のボコーダー/トークボックスを弾く感覚に近い。公式のラップ作例でも、MIDIモードでコードを弾いてCompuvoxのコーラスを効かせる使い方が紹介されています。上ネタのメロディにボーカルシンセを重ねたいときにも向きます。
自分で用意したオーディオをキャリア信号として送り込めるモード。シンセパッドやドラム、ギターループを“しゃべらせる”ような、通常では作れない音を狙えます。上ネタのテクスチャ作りに効くのはこのモードです。低域までしっかり作り込むなら、書き出し後に808・ベースのミックス方法もチェックしておくと全体のバランスが安定します。
キー選びで迷ったら、打ち込む前にBPM・キー検出ツール(無料)で参照曲のキーを調べておくと、ハモリ生成がハマりやすくなります。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 通常価格 | $199 USD | iZotope公式サイトの表示(2026年7月28日確認)。og:priceにも199.00 USDと明記 |
| 過去のセール実績 | $29 USD | 2026年2月にPlugin Boutiqueで期間限定の値下げ(Bedroom Producers Blog・2026年2月26日)。あくまで過去例 |
| エディション | 単一版のみ | Elements/Standard/Advancedの区分なし。VocalSynth 2はひとつのエディションで販売 |
※2026年7月28日、iZotope公式のVocalSynth 2製品ページで編集部が確認しました。価格はセールや為替で変わります。最新は購入ページでご確認ください。
ポイントは、iZotopeがPlugin Boutiqueのセール常連だということ。通常$199とはいえ、実際に2026年2月には$29まで下がった時期があり(Bedroom Producers Blog)、単体で買うならセールを待つ価値は十分にあるプラグインです。急ぎでなければ、まずは価格をウォッチしておくのがおすすめ。iZotope製品をまとめて狙うなら、ミックス側のNeutronやマスタリングのOzoneのセール時期と合わせて見ておくと効率的です。
加工した声を書き出したら、公開前にダイナミクス診断(無料)でラウドネスを確認しておくと、YouTubeや配信での仕上がりが安定します。無料で土台を組みたい人は無料プラグイン8選も参考に。
A. 使えます。Vocoder・Talkbox・Polyvox・Compuvox・Biovoxはブレンド可能で、ミックスパネルで混ぜ具合を調整できます。1つだけ強めにかけても、複数を薄く重ねてもOKです。
A. バージョン2で追加された、人の声道をモデルにしたモジュールです。鼻にかかった感じ(ナサリティ)や母音の形、フォルマントを、どんなオーディオソースに対しても調整できます。自然な範囲の補正から実験的な音まで幅広く使えます。
A. iZotopeはPlugin Boutiqueのセール常連で、2026年2月には$29まで下がった実績があります(Bedroom Producers Blog・2026年2月26日)。急ぎでなければ、セール時期を狙うと大きく差が出ます。
A. 使えます。Sidechainモードで任意のオーディオをキャリアとして送り込めるので、シンセやギター、ドラムなどを“しゃべらせる”音作りが可能です。上ネタの質感づくりにも向きます。
VocalSynth 2は、ボコーダーからトークボックス、iZotope独自の声道モデル(Biovox)まで、声の加工をこれ1台に集約した“声のシンセ”です。Auto/MIDI/Sidechainの3モードを押さえれば、ラップのフックから上ネタのテクスチャまで幅広く対応できます。通常$199ですが、iZotopeはPBセール常連。単体で狙うなら、まずはダイナミクス診断などで手持ちのトラックを整えつつ、セール時期をウォッチするのが賢い買い方です。