今週の注目ヒップホップニュース一気読み(2026年9月23日号)
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写真: The Come Up Show / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
今週はチャートの話題で幕を開けました。前号でお伝えしたJhené Aikoの復帰作が、彼女にとって初めての全米1位に。ステージ面では、A$AP Rockyが7年前の事件以来となるスウェーデン公演を果たし、J. Coleは5年温めた独立スニーカーを地元で世に出しました。先週の金曜に届いたRakimらの一枚は2Pac没後30年という節目に重なり、Pusha Tは完成済みのソロ新作をついに明言。今週の動きを、編集部の基準(報道の広がり・数字の裏付け・規模・今週性)で注目度の高いものから10本お届けします。
🎤 今週のヒップホップ関連ニュース
Jhené Aiko『Westside Whimsy』が自身初の全米1位 2026年で女性R&B作品として初
写真: The Come Up Show / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
前号で「6年ぶりの新作」とお伝えしたJhené Aikoの『Westside Whimsy』が、Billboard 200(9月26日付)で初登場1位を獲得しました。集計は7万4000ユニット(アルバム換算=ストリーミングや売上をアルバム1枚分に換算した指標)。彼女にとってキャリア初の首位で、これまでの最高位は2020年『Chilombo』の2位でした。
この1位には別の意味もあります。2026年に女性名義のR&Bアルバムが全米首位に立つのはこれが初めてで、R&Bアルバムの首位としてもSZA『SOS』(2025年5月に13週目の首位)以来です。今週は新譜が比較的少ないタイミングだったこともあり、待望の復帰作がそのまま頂点に届きました。客演にはKendrick Lamar、Ab-Soul、Larry June、Tyga、Ohmaが名を連ねています。
出典: Billboard / Wikipedia(Westside Whimsy)
A$AP Rocky、7年ぶりのスウェーデン公演 ヘリで登場しRihannaも来場
写真: Gabriel Hutchinson / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
A$AP Rocky(37歳)が9月21日、ストックホルムのAvicii Arenaで公演を行いました。自身の「Don't Be Dumb World Tour」の一環で、2019年にこの地で逮捕・勾留されて以来、実に7年ぶりのスウェーデン公演です。会場にはヘリコプターで登場し、アリーナ中央に着地。バックダンサーがスウェーデン国旗を掲げる派手な演出で迎えられ、恋人のRihannaも客席で見守っていたと報じられています。
2019年の一件は、彼と警備チームが路上で男性ともみ合いになり、暴行罪で起訴されたもの。1か月以上勾留された末に有罪となりましたが、量刑は執行猶予付きで、被害者への賠償を命じられました。当時は国際的な話題にもなった因縁の地での凱旋公演であり、キャリアの区切りを象徴する一夜になりました。
出典: iHeart
J. Cole、独立スニーカー「Dreamer Indie 5000」を地元Fayettevilleで発売
写真: HOTSPOTATL / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
J. Coleが、自身初の独立スニーカー「Dreamer Indie 5000」を9月23日に発売しました。発売の地は、彼が育った街ノースカロライナ州フェイエットビル。同日にはCrownColiseumでの凱旋公演も控えており、その日にぶつける形での投入です。開発には5年をかけ、うち4年はイタリアのデザイナーたちと組んで、大手スポーツメーカーを通さずに設計・製造まで自ら管理したといいます。
デザインは90年代末〜2000年代初頭のごついバスケットボール・シューズを下敷きに、白レザーにジグザグの青いパネルをあしらった一足。大手に頼らず自前で世に出したことから、「黒人アーティストによるフットウェアのオーナーシップの見本」と評する声も上がっています。地元に大事な瞬間を持ち帰る、Coleらしい発表になりました。
出典: The Source / HotNewHipHop
AZ Chikeのメジャーデビュー作、Billboardが「9月の新星」に選出
写真: JD Sports / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)
前号で取り上げたAZ Chikeのメジャーデビュー作『No Rest for the Wicked』(9月18日・Warner Records、全14曲)が、公開後に高い評価を集めています。Billboardは同作の到着に合わせ、AZ Chikeを「9月のヒップホップ新星(Up-And-Comer)」として特集しました。ロサンゼルスのストリート・ラップの新世代を背負う存在として、あらためて注目が高まっています。
制作陣も豪華で、「Lamb Truck Keys」をPharrell Williams、「Packed Up」をHit-Boy、「Negative」をSounwaveが手がけ、Tyler, the Creatorは「The World Is Ours」「Look Like My Mama」の2曲で客演しました。前号でうわさになったKendrick Lamarの参加は、結局トラックリストには入りませんでしたが、地元の期待を一身に受けた船出であることは変わりません。
Rakimらの『The Godbody LP』、2Pac没後30年の節目に響く
写真: Flowizm / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
前号でお伝えしたRakim・Kurupt・Masta Killaの合作『The Godbody LP』(9月18日)が、公開後に静かな余韻を広げています。到着したのは2Pacの命日から30年という節目の直後。東海岸と西海岸の伝統を一枚に束ねた作りは、2Pacが遺した未完の「One Nation(ワン・ネイション)」構想=東西の壁を越えて一つになる、という発想の協働精神にも重なると受け止められています。
KRS-One、Kool G Rap、Ghostface Killah、Raekwon、Snoop Doggら、ヒップホップの歴史そのものというべき客演陣が、その厚みをさらに深めています。前号で触れたEminemとJay-Zの約25年ぶりの同席(Rakimへの敬意を語るインタールード)も、公開後にあらためて語り継がれています。派手な数字より、歴史に敬意を払う一枚として評価が定まりつつあります。
出典: HotNewHipHop / Wikipedia(The Godbody LP)
Pusha T、Pharrell全面プロデュースのソロ新作「完成」を明言 Clipse新作も進行中
写真: Office of Governor Glenn Youngkin / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
Clipseの片割れPusha Tが、Pharrell Williamsが全面プロデュースする新しいソロ・アルバムが完成し、リリースを待つ状態にあると明かしました。あわせて、実弟Malice(No Malice)とのユニットClipseとしての新作も進行中だと語っています。Clipseは2025年の復活作『Let God Sort Em Out』でグラミーのラップ・アルバム部門にノミネートされ、Kendrick LamarとPharrellを迎えた「Chains & Whips」でラップ・パフォーマンス部門を受賞しています。
PharrellとPusha Tの組み合わせは、Clipse時代から続く鉄板のタッグ。復活の勢いをそのままソロ作へ持ち込む格好で、次の一手に期待が集まっています。具体的な発売日はまだ告知されていません。
出典: HipHop-N-More / Wikipedia(Pusha T)
Drake、「FOMO」配信の成功後に謎めいた投稿
写真: GabboT / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)
前号で取り上げた約1時間の短編映画「FOMO」の配信が好調だったことを受け、DrakeがInstagramにいつもの"意味深"な投稿を落としました。撮影現場のスチール写真をまとめて公開した形で、はっきりした言葉での説明は付けていません。彼が何かを匂わせるときの恒例のやり方で、ファンの間では「次に何か来るのでは」と受け止められています。
「FOMO」は一度非公開になった後、9月17日に公式YouTubeへ再アップされ、より多くの人が視聴できるようになりました。その勢いを保ったまま、Drakeがまた小出しの仕掛けを始めた格好です。中身の続報は追って分かり次第お伝えします。
出典: HotNewHipHop
Lil Durkの共同被告2名が再審を請求 Durk本人は無罪、別裁判は10月へ
写真: JD Sports / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
前号でお伝えしたLil Durkの連邦裁判に、続報です。Durk本人は9月11日に全訴因で無罪となりましたが、同じ事件でストーキング関連の罪に問われた共同被告のOTF DedeとDavid Lindseyの2名が、有罪評決を不服として再審と無罪判決を求める申し立てを行いました。事件をめぐる法廷での攻防は、まだ完全には終わっていません。
Durk自身にも、恐喝(RICO)に関する別の連邦裁判が10月5日に控えています。今週いちばん大きく報じられた前号の無罪判決から、関係者それぞれの手続きが次の段階へ進み始めた形です。
出典: HotNewHipHop
Meek MillとDJ Akademiksの応酬が再燃 SNSで一段と過熱
写真: AlfredGoodach / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
前号で触れたMeek MillとDJ Akademiksのいさかいが、今週さらに過熱しました。きっかけはLil Durkの無罪判決後にMeekが「ヒップホップはAkademiksと距離を置くべきだ」と呼びかけたこと。これにAkademiksが反発し、双方が相手とのメッセージのやり取りをそれぞれ公開する暴露合戦になりました。もともと近い関係だっただけに、内輪のやり取りが次々と表に出ています。
音楽の新作とは無関係の話題ですが、影響力の大きい二人の衝突として今週のSNSを大きく賑わせました。過熱ぶりには冷ややかな見方もあり、当事者どうしの言い分が食い違っている点には注意が必要です。
出典: HotNewHipHop / Complex
来週以降の予定:10月頭の新譜と、続く裁判の節目
リリース面は10月2日が山です。Victoria Monétの新作『Frequency of Love』と、Quavoの新作『QRÖMELIFE』(Pharrellがプロデュース統括)が同日に予定されています。ツアーでは、Wu-Tang Clanの長い引退興行「Wu-Tang Forever: The Final Chamber」が2026年後半に日本・横浜での公演で幕を閉じる予定で、こちらも国内のファンには見逃せない一区切りになりそうです。
裁判関係では、無罪となったLil Durkの別の連邦裁判(恐喝)が10月5日、2Pac殺害裁判のKeffe D(Duane Davis)の量刑言い渡しが10月13日に控えています。Sean "Diddy" Combsの控訴審も、弁護側が量刑は重すぎると主張して進行中です。いずれも次の節目が近づいており、動きがあり次第、次号でまとめてお伝えします。
出典: Billboard / Wikipedia(Wu-Tang Forever: The Final Chamber)
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