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今週の注目ヒップホップニュース一気読み(2026年9月15日号)

Lil Durk

写真: JD Sports / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

今週は裁判の話題で始まり、金曜の新譜と大物の動きで一気に盛り上がりました。前号で「立証が終盤へ」とお伝えしたLil Durkの連邦裁判は、9月11日に全訴因で無罪の評決。同じ金曜には、Jhené Aikoが6年ぶりの新作を、French MontanaとD-Block Europeが合作を出し、Quavoは新曲を投下しました。DrakeはずっとひっぱってきたFOMOの正体をついに明かし、Jay-ZはロンドンでFugeesを一夜だけ復活させています。今週の動きを、編集部の基準(報道の広がり・数字の裏付け・規模・今週性)で注目度の高いものから11本お届けします。

🎤 今週のヒップホップ関連ニュース

Lil Durk、連邦裁判で全訴因が無罪 次は10月の別裁判へ

Lil Durk

写真: JD Sports / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

前号で「検察側の立証が大詰め」とお伝えしたLil Durk(本名Durk Banks、33歳)の連邦裁判で、9月11日にロサンゼルスの陪審が全5訴因について無罪の評決を出しました。問われていたのは「殺しの依頼(murder-for-hire=報酬などと引き換えに殺害を頼む行為)」を含む共謀罪などで、検察は、2020年に亡くなった盟友King Vonの死をQuando Rondoのせいだと考えたDurkが、報復として実行役を雇い、2022年8月にロサンゼルスで銃撃を起こさせたと主張していました。

その銃撃で亡くなったのは、狙われたQuando Rondo本人ではなく、いとこのSaviay'a "Lul Pab" Robinsonでした。陪審は「検察は立証しきれなかった」と判断し、Durkは無罪となりました。ただし話はこれで終わりではありません。Durkには別に恐喝(RICO)に関する連邦裁判が残っており、こちらは10月5日に始まる見込みです。今週いちばん大きく報じられたニュースであり、前号からの流れがひとつの区切りを迎えた形です。

出典: Rolling StoneNBC Los Angeles

Drake「FOMO」の正体は"短編映画" 9月15日にYouTubeでプレミア

Drake

写真: GabboT / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

前号で「9月15日に生配信を予告」とお伝えしたDrakeのFOMOについて、その正体が明かされました。新作アルバムでもツアーでもなく、本人いわく「そこまで短くない短編映画(not so short film)」です。9月15日(米東部時間21時)にYouTubeでプレミア公開されます。制作は「家族が監督と音楽を手がけた(directed and scored by the family)」とされ、かなり個人的な企画になっているようです。

公開された25秒のティーザーには、色鮮やかなボートでオンタリオ湖を進むDrakeの姿が映り、女性の声で「もし人生に二つのバージョンがあると言われたら? ひとつはリスクを避け、愛を出し惜しみする人生。もうひとつは…」と作品のテーマが語られます。FOMOは「Fear of Missing Out(乗り遅れる不安)」の略。8月中旬から少しずつ焦らしてきた仕掛けが、映像作品という着地を見せた格好です。中身は今夜(15日)のプレミアで分かります。

出典: Rolling StoneThe Source

Jhené Aiko、6年ぶりの新作『Westside Whimsy』 Kendrick Lamarが再客演

Jhené Aiko

写真: Kayla Johnson / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

R&BシンガーのJhené Aikoが9月11日、4作目のスタジオ・アルバム『Westside Whimsy』を配信しました。2020年の『Chilombo』以来、実に6年ぶりの新作で、リリースの週にSNSでサプライズ発表されました。全20曲・約55分で、地元ロサンゼルスへの「ラブレター」として作られたと本人は語っています。

客演にはKendrick Lamar、Ab-Soul、Larry June、Tyga、Ohmaが名を連ねます。中でも注目は、Kendrick Lamarを迎えた「So Good」。二人は過去にも「Growing Apart」などで組んでおり、久々の再タッグとなりました。今週の新譜のなかでは最も大きな話題を集めた一枚で、R&Bファンにとっては待ちに待った復帰作です。

出典: BillboardComplex

Jay-Z、ロンドンで30周年公演 Fugeesが一夜だけ復活

Jay-Z

写真: Mike Barry / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

Jay-Zが9月4日、ロンドンのトッテナム・ホットスパー・スタジアムで、デビュー30周年を記念した公演を行いました。英国での単独ヘッドライナー公演は10年以上ぶりで、6万人を集めたと報じられています。最大の見せ場は、Lauryn HillとWyclef Jeanを呼び込んだ一夜限りのFugees(フージーズ)復活。1996年のヒット「Ready or Not」「Killing Me Softly」「Fu-Gee-La」を披露しました。

Jay-ZはHillに向かって「お互い30周年だね。ずっと感謝している、永遠のファンだよ」と語りかけたそうです。開演の口上は俳優のIdris Elbaが務め、サウス・ロンドンのラッパーGiggsも登場。さらに、この日誕生日を迎えていた妻のBeyoncéにもスポットライトを当てました。長いキャリアの節目を、盟友たちとの共演で祝う一夜になりました。

出典: VarietyHotNewHipHop

2Pac殺害裁判 Keffe Dの量刑言い渡しは10月13日、弁護側は控訴へ

Tupac Shakur

写真: State of California DMV / Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

前号でお伝えした2Pac殺害裁判の続報です。8月31日にDuane "Keffe D" Davis(63歳)へ第一級殺人(凶器使用の加重要件つき)の有罪評決が出たのを受け、ネバダ州クラーク郡の裁判所は、量刑の言い渡しを10月13日に行うと決めました。最も重い場合は仮釈放なしの終身刑になり得ます。Davisは判事に対し「控訴するつもりだ」と述べたと報じられています。

1996年9月7日、ラスベガスで赤信号に停車していた2Pacの車が銃撃された事件で、これは約30年を経て初めての有罪判決です。検察はDavis自身が撃ったとは主張しておらず、襲撃を計画し指示した側だという立場でした。評決は出たものの、控訴の意向が示されている以上、この長い事件はまだ次の段階が残っています。

出典: NBC NewsNPR

Victoria Monét、新曲「Juicy」を配信 新作『Frequency of Love』とツアーも発表

Victoria Monét

写真: Emma / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

R&BのVictoria Monétが新曲「Juicy」を配信し、あわせて新作アルバムと全米ツアーを発表しました。「Juicy」は、往年のファンキーなソウル/R&Bにぐっと寄せた一曲で、作詞クレジットにはBabyfaceの名前も。プロデュースはD'Mileらが手がけています。

新作『Frequency of Love』は10月2日にリリース予定で、2023年のブレイク作『Jaguar II』以来のアルバムになります。ツアーはLive Nation主催の全27都市の北米公演。既に「Let Me」「Reach Out」といった先行曲も出ており、アルバムに向けて足場を固めてきました。ヒップホップの話題が多い今週にあって、R&Bの本格派が存在感を示しました。

出典: StereogumBillboard

French Montana×D-Block Europe『WORLDWIDE WAVE』 Max Bも参加

French Montana

写真: MILLION DOLLAZ WORTH OF GAME / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

French Montanaが9月11日、イギリスのグループD-Block Europeと組んだ合作『WORLDWIDE WAVE』を配信しました。サウス・ロンドンとニューヨーク(ブロンクス)を結ぶ、大西洋をまたいだ一枚です。全19曲で、前号でも取り上げたMax Bが客演。メランコリックなトラップのビートに、オートチューンを効かせた歌もの寄りの作りが並びます。

先行シングルは「RICO」。派手なチャート狙いというより、両者の地元の空気を混ぜ合わせた質感で聴かせるアルバムで、この後に控えるヨーロッパ・ツアーに合わせての配信となりました。国境をまたいだコラボが当たり前になってきた今の流れを、分かりやすく示す作品です。

出典: Fresh: Hip-Hop & R&BApple Music

Quavo×T.I.「Backwards」 Pharrell制作、新作『QRÖMELIFE』へ

T.I.

写真: Carla from Atlanta, Georgia / Wikimedia Commons(CC BY 2.5)。客演したT.I.。

QuavoがT.I.を迎えた新曲「Backwards」を9月11日に配信しました。アトランタのヒップホップの二つの世代が顔を合わせた一曲で、Migosで一時代を築いたQuavoと、アトランタの土台を作った先輩格のT.I.が並びます。プロデュースはPharrell Williams。楽しいパーティー・チューンに仕上がっており、ミュージックビデオも同時公開されました。

この曲は、10月2日に出るQuavoの新作アルバム『QRÖMELIFE』の先出しでもあります。同作はPharrellが全体のプロデュースを統括する一枚。Pharrellがベテランと若手をつなぐ役回りを、ここでも担っています。

出典: HipHop-N-MoreHotNewHipHop

21 SavageとLatto、US Openで初めて公の場に登場

21 Savage

写真: Ralph Arvesen / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

ラッパーの21SavageとLattoが9月12日、全米オープンテニスの女子決勝に揃って姿を見せました。長く関係を公にしてこなかった二人が、初めてカーペットの上で並んだ形です。二人は今年はじめに第一子を授かることを明かし、5月に娘が誕生しています。

会場での二人の装いやポーズについて、SNSでは「もう少し合わせてくればよかったのに」といった声も上がりました。音楽の新作とは離れた話題ですが、二人の関係を久々に垣間見られる機会として広く取り上げられました。

出典: theGrioCapital XTRA

「Mac Dre Way」誕生 ヴァレーホが通りをレジェンドの名に改名

E-40

写真: Gamerscore Blog from USA / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)。Mac Dreと同郷ヴァレーホのE-40。

カリフォルニア州ヴァレーホの市議会が、故Andre "Mac Dre" Hicksにちなんで市内の通りを改名することを全会一致で可決しました。North Vallejoの「Taper Avenue」が、名誉ある通称「Mac Dre Way」になります。約800メートルの区間で、Mac Dreが幼少期を過ごした住居のあった一帯にあたります。改名の請願は7月、Mac Dreのレーベルthizz Entertainmentの創設メンバーの一人が提出していました。

Mac Dreは、ベイエリア発の「ハイフィー(hyphy)」ムーブメントを切り開いたパイオニアです。その影響はDrakeやE-40(写真)といった後進にも及び、地元ヴァレーホの音を全米に押し上げました。近年、ベイエリアではヒップホップの功労者を通りの名として残す動きが続いており、その流れに連なる一件です。

出典: The Vallejo SunAllHipHop

Diddy、控訴審で「即時釈放」を要求 出所予定は2028年1月に前倒し

Diddy

写真: David Shankbone / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

Sean "Diddy" Combsの弁護団が、控訴審で「即時釈放」を求めていることが報じられました。無罪判決を出すか、量刑を破棄して再審理に差し戻すよう求める内容です。これに対し政府側は、量刑は妥当であり控訴には「根拠がない」と反論しています。前号で触れたとおり、出所予定日はさらに前倒しになり、連邦刑務所の記録では2028年1月24日とされています。

Diddyは2025年の連邦裁判で、売春目的の州をまたいだ運送という2つの罪で有罪となり、より重い恐喝(RICO)と性的人身売買の罪は無罪でした。量刑は50か月です。刑務所内では別の受刑者とのトラブルの後、一時的に独房に入れられたとも伝えられています。いずれも係争中で確定した話ではない点に注意が必要です。

出典: The Hollywood ReporterThe Washington Post

来週の予定:今夜のDrake「FOMO」と、9月18日の大型リリース

まず今夜(9月15日・米東部時間21時)に、Drakeの「FOMO」がYouTubeでプレミア公開されます。中身がどんな短編映画なのか、ようやく分かります。リリース面では9月18日が山で、RakimがKuruptとMasta Killaと組んだ『The Godbody LP』が配信予定。Snoop Dogg、Raekwon、Ghostface Killah、KRS-One、Kool G Rapらが客演し、EminemとJay-Zが約25年ぶりの共演をインタールードで披露するとも報じられています。同じ18日には、Nicki Minajが審査員を務める中小企業のピッチ大会の決勝もあります。

裁判関係では、Lil Durkの別の連邦裁判(恐喝)が10月5日、2Pac殺害裁判のKeffe Dの量刑言い渡しが10月13日に控えています。10月2日にはVictoria MonétとQuavoの新作も予定されており、しばらくは音楽の話題が続きそうです。次号でまとめてお伝えします。

出典: Wikipedia(The Godbody LP)HotNewHipHop

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