「8小節のループはできたのに、そこから2〜3分の曲に仕上げられない」——ビートメイクで多くの人がつまずくのが、アレンジ(展開づくり)です。ですが、Type Beatのアレンジには定番の「型」があります。ゼロから展開を考える必要はなく、まずはその型に当てはめて、そこへ少しずつ変化を加えていけば十分です。
この記事では、Type Beatでよく使われる構成テンプレートをはじめ、ループを飽きさせないための変化の付け方(ミュート・フィル・転調)、尺の考え方を紹介します。最後には、完成したビートをYouTubeへ投稿するまでの流れ(動画化・タグ入れ)もまとめています。
Type Beatのアレンジがポップスや EDM と大きく違うのは、メインの聴き手がラッパー(=ビートを購入して歌詞を乗せる人)であることです。だからこそ、ビート単体で派手に盛り上げるよりも、次の2つが重視されます。
最もよく使われている構成がこちらです。まずはこの型どおりに並べるだけで、2分半前後のビートに仕上がります。
| セクション | 小節数の目安 | やること |
|---|---|---|
| イントロ | 4〜8小節 | 上物だけ、またはフィルター掛けで開始。8小節以内にドラムイン |
| ヴァース1(Aメロ) | 16小節 | 要素を減らしてラップの余白を作る。フルループより1〜2要素少なく |
| フック(サビ) | 8小節 | 全要素イン。メロディやレイヤーを足して一番密度の高い状態に |
| ヴァース2 | 16小節 | ヴァース1と同じ土台に小さな変化(ハイハットのパターン替え等) |
| フック2 | 8小節 | フック1と同じでOK。繰り返しがフックを覚えさせる |
| ブリッジ/ビートスイッチ | 4〜8小節 | 要素を大きく抜く、または雰囲気を切り替えて飽きを防ぐ(任意) |
| アウトロ | 4〜8小節 | 要素を順に抜いて着地。ループのフェードアウトでも成立 |
合計はおよそ60〜72小節です。テンポによって実際の長さは変わり、4/4拍子なら1小節の長さは「240÷BPM」秒で計算できます。たとえばBPM140なら1小節約1.7秒で64小節≒1分50秒、BPM90なら1小節約2.7秒で64小節≒2分50秒になります。テンポが速い曲は小節数を多めに、遅い曲は少なめに調整し、全体が2〜3分に収まるようにするのが目安です。自作ループのBPMが曖昧な場合は、BPM・キー検出ツールで確認しておくと安心です。
アレンジの本質は、「同じループのどの要素を、どこで抜いてどこで足すか」です。新しいメロディを何本も作る必要はありません。基本は次の3つだけで十分です。
セクションごとに要素をオン・オフするだけでも、しっかり展開が生まれます。定番のパターンは次のとおりです。
セクションの切り替わり(8小節・16小節の終わり)に、スネアロールやハイハットの刻み替え、リバースシンバル、ピッチライザーなどを入れると、「次の展開が来る」という合図になります。逆に、切り替わる直前の1拍を無音にするだけでも、強いトランジション効果が生まれます。フィルは毎回使うのではなく、大きな区切りだけに入れるほうがメリハリが付きます。
2回目のフック以降は、どうしても単調に感じやすくなる場面です。そこで活躍するのが、転調やビートスイッチです。
なお、ジャンルによって定番のアレンジは少しずつ異なります。ブーンバップ系のゆったりした展開づくりはブーンバップビートの作り方で、アレンジ後のミックスの土台づくりはミックステンプレートの作り方もあわせて参考にしてください。
Type Beatの主戦場はYouTube検索です。アレンジまで完成したら、そのまま投稿まで進めましょう。
A. 2〜3分が目安として広く使われています。ラッパーが2ヴァース+フックを乗せられる長さがあれば十分で、長すぎるとループ感による離脱につながりやすくなります。試聴用デモでは、最初のフック(サビ)が早めに始まる構成を意識することも大切です。
A. 4〜8小節が定番です。Type Beatは検索から来たラッパーが「使えるかどうか」を数秒で判断するため、長すぎるイントロは不利になりがちです。上物だけで始めてからドラムが入るような短い助走にし、8小節以内でビート全体の雰囲気が伝わる構成がよく使われています。
A. ヴァースはラップが主役になる区間なので、要素を減らして余白を作ります。一方、フックはビートが主役になる区間なので、メロディやレイヤーを加えて密度を高めるのが定番です。同じループでも、要素を足したり引いたりするだけでヴァースとフックのコントラストを作れます。
A. 曲の途中でドラムパターンやメロディ、キーなどを大きく切り替えるアレンジ手法です。後半(2回目のフック後など)に取り入れて飽きを防ぐ使い方が定番で、Type Beatでは差別化にもつながります。転調やハーフテンポ化のような控えめな変化でも十分な効果があります。
ビートのアレンジは、才能ではなく型をうまく使うことが大切です。
まずは手元にある8小節ループを、この記事のテンプレートどおりにDAWへ並べてみてください。1時間後には「曲」と呼べる形になっているはずです。