808ベース・シンセおすすめ7選|有料・無料プラグイン比較【TR-808の日】

毎年8月8日はTR-808の日(808 Day)。8/08という日付が、あのリズムマシンの型番と重なるところから始まった、ビートメイカーにとっての小さな記念日です。
おもしろいのは、いまヒップホップやトラップで「808」と言われたとき、キックではなくベースのほうを思い浮かべる人も少なくないことです。TR-808のバスドラムを長く伸ばして鍵盤で弾く、という使い方が広まったからですね。
とはいえ、808のドラムキットは今でも定番です。キックもハットもクラップもカウベルも現役。ベースという顔があとから加わった、と考えるのが実際に近いと思います。
ただ、808をサンプルで済ませていると、どうしても行き詰まる瞬間があります。「この曲にはもう少し短いほうが合う」「もっと歪ませたい」と思ったときに、後から直せない。そこで出てくるのが808を自分で作れるシンセ・プラグインです。
この記事では、有料3本と無料4本を並べて、価格・音の作り方・得意ジャンルを比べていきます。
そもそも808キックと808ベースは何が違う?
先に押さえておくと、この後の話がぐっと分かりやすくなります。音の出どころは同じです。違うのは、ディケイ(減衰の長さ)をどこまで伸ばすか、それだけ。
もうひとつ、808の音を分解すると「アタックのクリック」+「サイン波に近い低音」のふたつでできています。前に出るか奥に沈むかは、だいたいこのクリックの量で決まります。
808ベース・シンセ比較表
先に全体像を。方式の欄は音の作り方の違いで、シンセは波形そのものを生成、ロンプラーは収録済みサンプルを鳴らして加工するタイプです。どちらが偉いという話ではなく、いじれる範囲が違います。
| プラグイン | 価格 | 方式 | 特徴 | 得意ジャンル |
|---|---|---|---|---|
| Roland TR-808 Software Rhythm Composer | 有料 | シンセ (回路モデリング) | 本家TR-808を公式が再現 | Hip-Hop / Lo-Fi / Electro |
| SubLab XL | 有料 | シンセ+サンプラー | 現代的な808制作に特化 | Trap / Drill / R&B |
| 808 Studio 2 | 有料 | シンセ+サンプラー | メロディックな808向け | Trap / Bass Music |
| 808 Bass Module 4 Lite | 無料 | ロンプラー | 15プリセットで即戦力 | Hip-Hop / Trap |
| Synsonic BD-808 | 無料 | シンセ (回路モデリング) | 808キック回路を再現 | Hip-Hop / Techno |
| 808XD | 無料 | ロンプラー | 歪んだ攻撃的な808が得意 | Trap / Drill |
| Vital | 無料 | ウェーブテーブル シンセ | 汎用シンセだが808も自作可 | ジャンル問わず |
※価格・仕様は2026年8月時点で編集部が各製品ページで確認した情報です。セール価格は時期により変わります。
【有料】本格的に808を作り込める3本
有料のメリットは、音源を重ねられること、そして歪みやフィルターの質が段違いなことです。サンプルでは辿り着けない音を作りたいなら、ここから選びます。
1. Roland / TR-808 Software Rhythm Composer有料
本家ローランドが、初代TR-808をそのままソフト化したもの。ACB(Analog Circuit Behavior)という技術で、サンプルを鳴らすのではなくアナログ回路の挙動ごと再現しています。だから鳴らすたびに微妙に表情が変わる。
キックのチューニング範囲も実機より広げられていて、音程を付けて808ベースとして弾けます。「まず本物の質感が欲しい」という人には、これ以上の答えがありません。
- クラシックな808の質感をそのまま使いたい
- Lo-Fiや90年代寄りのヒップホップを作っている
- キック以外(ハット・クラップ・カウベル)も本家で揃えたい
2. Future Audio Workshop / SubLab XL有料
いま「トラップの808シンセを1本だけ選ぶなら」で名前が挙がりやすいのがこれです。シンセエンジン、サンプラー、そして独自のX-Subエンジンを重ねて音を作ります。
強いのは低音を思いきり歪ませても芯が残ること。ディストーションは6種類あり、波形を折りたたむウェーブシェイパーやビットクラッシャーも並んでいて、最大4つまで自由に並べ替えられます。トラップで必須のグライド(ポルタメント)もすぐ設定できます。
収録サンプルにはTR-808実機のほか、TR-707やJomox MBase 11、Dave Smith Tempestといった実機から録った音が300以上入っています。
- 現代的なTrap/Drillの808を作りたい
- 太く歪んだ低音が欲しい
- 808づくりの時間を短くしたい
3. Initial Audio / 808 Studio 2有料
808を「メロディを弾く楽器」として扱うために作られたシンセです。3基のオシレーターとサンプラー、専用のサブオシレーターを持っていて、複数の波形を混ぜて自分だけの808を組み立てられます。
おもしろいのは内蔵シーケンサー。ピッチが動く808フレーズを、プラグインの中だけで組めます。エンベロープやLFOをドラッグ&ドロップでほぼ全てのつまみに割り当てられるので、動きのあるベースラインを作りたい人には効きます。プリセットは80種類。
- 音程が動く808ベースを作りたい
- ベースラインを曲の主役にしたい
- Trap/Bass Musicを作っている
【無料】予算ゼロで始める808プラグイン4本
無料でも、プリセットを鳴らすだけで終わらせずに音を作り替えられるものがあります。ただし前述のとおり、無料はロンプラー(サンプル再生型)が中心です。波形そのものから作りたい場合は、この中ではBD-808とVitalが該当します。
1. 808 Bass Module 4 Lite無料
無料の808でまず名前が挙がる定番。カットオフ、ADSR、LFO、グライドタイム、ディストーションと、必要なつまみは一通り揃っています。
グライドの掛かり方が自然なので、音程が滑らかに移動するトラップの808が驚くほど簡単に作れます。プリセットはすでにレイヤー処理されていて、鳴らした瞬間から曲に馴染む音が出てくるのも大きい。
- はじめて808プラグインを使う
- 無料でトラップ系の808を試したい
2. Synsonic Instruments / BD-808無料
この中で唯一、無料かつ回路の解析にもとづいて波形を生成するタイプです。サンプルを加工しているのではないので、音がどこまでも素直で、下地作りに向いています。
つまみは実機と同じAccent/Level/Decay/Toneに加えて、Tune・Fine・LongDecay、そしてMIDIノートに音程を追従させる設定まで用意されています。つまりMIDIで弾けば、そのままベースシンセとして使えます。
3. 808XD無料
Audiolatryが配布している無料プラグイン。31種類のプリセットに、ディストーション、キャビネットのシミュレーション、フィルター、グライドが載っています。
キャラクターがはっきりしていて、最初から荒く歪んだ808が出てくるのが特徴。DrillやTrapで「もっと汚したい」というときに、EQや歪みを足す手間を省いてくれます。
4. Vital無料
808専用ではありませんが、あえて入れておきます。無料で使えるウェーブテーブルシンセの中では頭ひとつ抜けていて、サイン波にディケイを与えて歪ませるという808の基本さえ分かっていれば、自分で一から808を組めます。
「808って結局どういう音の積み方なんだ」を理解したい人には、専用プラグインより勉強になります。しかも808以外にも使い回せるので、1本入れておいて損がありません。
結局どれを選べばいい?
808はジャンルによって求められる質感がかなり違うので、「これが正解」という1本はありません。それでも目的別に絞るなら、こうなります。
- 本物のTR-808の質感が欲しい → Roland TR-808 Software Rhythm Composer
- 現代的なTrap/Drillの808を速く作りたい → SubLab XL
- 音程が動くメロディックな808を作りたい → 808 Studio 2
- まず無料で試したい → 808 Bass Module 4 Lite
- 音作りの仕組みから理解したい → Synsonic BD-808 か Vital
ひとつだけ付け加えると、808が曲の中で埋もれる原因は、プラグインの性能ではなくアタックのクリックが足りないことが大半です。プラグインを買い替える前に、キックとの重なりを一度見直してみてください。それだけで解決することもあります。
8月8日前後はプラグインメーカーのセールが重なりやすい時期でもあります。狙っているものがあるなら、今週のセール情報もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 808ベースはサンプルではなくシンセで作ったほうがいいですか?
A. どちらでも作れます。ただシンセなら、音程・ディケイ・歪みを後から自由に変えられます。サンプルは一発で決まる代わりに、キーを変えると音の質感まで変わってしまったり、曲に合わせて長さを詰めにくかったりします。ミックスの途中で「もう少し短く」と思うことが多い人ほど、シンセのほうが速く終わります。
Q. 無料の808プラグインでも曲は作れますか?
A. 作れます。808 Bass Module 4 LiteやBD-808のように、ADSR・グライド・ディストーションといった基本的な音作りができるものがあります。ただし無料はロンプラーが多く、波形そのものを作り込めるタイプは限られます。まず無料で音を出して、物足りなくなってから有料に移るのが無駄がありません。
Q. 808キックと808ベースは何が違いますか?
A. 出どころは同じで、扱い方が違います。TR-808のバスドラムはディケイを長くすると、音程感のあるサイン波として伸びます。これを鍵盤で弾いてベースラインにしたものが808ベースです。短く切ればキック、伸ばして音程を付ければベース、という関係です。
Q. 808プラグインで作った音は商用利用できますか?
A. ここで紹介したプラグインは、いずれも自分で作った音を楽曲に使って販売・配信できます。内蔵サンプルやプリセットもロイヤリティフリーで提供されているのが一般的です。ただし条項は製品ごとに違うので、ビート販売など再配布に近い使い方をする場合は各製品の規約を確認してください。
Q. TR-808の日はいつですか?
A. 毎年8月8日です。8/08という日付が型番と重なることから、808 Dayとして海外のビートメイカーやメーカーの間に定着しました。この時期はセールが重なることも多いので、808関連を買うタイミングとしても狙い目です。